2018年も新年早々、知的財産関連のビックニュースが飛び込んできました。ご存知、任天堂vsコロプラの仁義なき戦い。任天堂がコロプラを特許侵害で提訴したのが2017年12月22日付け。

公式メディア(例えば、2018/1/10の日経新聞)とコロプラのニュースリリースに基づくと、現時点で公開されている情報で注目したいのは以下。

・平成28年9月、任天堂がコロプラに対して特許侵害を指摘
・任天堂の特許は、タッチパネル上で操作する際に使用する技術
・任天堂の請求内容は、「白猫プロジェクト」の差し止めと44億円の損害賠償

その他、ツイッター等のSNSで任天堂の特許に関するうわさ(憶測?)が飛び交っていますが、そんな中でも某YニュースでアップされたK先生の推理情報(任天堂の特許3734820号)の“確からしさ”を検証しつつ、わずかながら任天堂の特許戦略を考察してみました。

任天堂はコロプラ指摘直前に特許を訂正

特許取得後、訂正審判というのを請求すると、特許の内容を訂正(一部変更)することができます。訂正の主な目的は、特許紛争時の準備。例えば、相手からカウンターパンチで特許の無効審判を請求されても無効にならないようにするとか。

ここで、任天堂は、特許3734820号の訂正審判(訂正2016-390074)を平成28年6月14日に請求し、8月12日に確定しています(以下、特許庁の審判情報画面を一部引用)。つまり、コロプラへの指摘(9月)の直前には、特許の訂正が完了していることから、臨戦態勢が伺えます。

訂正の内容がえぐい

基本的に、特許では請求項1が最も重要です。なぜなら、範囲(網)が広く、第三者にとっては最も悩ましいからです。なお、一般的には、請求項1(独立項)に続いて、請求項2,3・・・(従属項)と少しずつ範囲を狭くして、特許の内容をより具体化します。

さて、任天堂が特許3734820号の請求項1に対してどういう訂正をしたかというと、以下の下線部です(以下、特許庁の審判情報画面の一部引用)。

(文字が小さく見えにくいので、)特に注目したい部分と、この部分を解説している特許公報の図面を一部引用しました。つまり、この部分がコロプラ社の特許侵害とうわさされている「ぷにコン」の技術に引っ掛かるように訂正したと推測できます。

「・・・ステップであって,前記指示座標が前記基準位置を中心とした所定半径を有する円領域からなる制限範囲を逸脱したときには,指示座標が前記制限範囲の外縁部にあるときの入力距離に基づいてゲーム制御を行う,ゲーム制御ステップとを実行させる,ゲームプログラム。」

なお、考察は省略しますが、他の請求項も多数訂正しているので、コロプラからのカウンターパンチ対策は万全という感じです。

提訴のリスクを考えた特許戦略

別に、特許の内容を訂正しなくても、訴えることはできます。実際、特許の訂正後より訂正前の方が、特許の範囲としては広く、ある意味では攻撃しやすいともいえます。

一方、上述したとおり、特許の内容があいまいだったために、相手からのカウンターで特許の無効審判を請求されると、その分争いが長引き、時間もお金も消耗します。相手にとって特許が無効になれば、訴えられた根拠がなくなるので、なんとかしたいわけです。

さらに、仮に特許が無効となり、裁判に負けてしまった上、その裁判が原因で相手の商材(この場合、「白猫プロジェクト」)の売れ行きがにぶってしまったら、その分売上が下がったんじゃ!ということで、損害賠償請求されてしまうこともあります。

メディアにも注目されてますし、裁判の勝敗のみならず、金銭的にもイメージ的にもマイナスになってしまっては、株価にも影響するでしょうから、大きい会社ほど特許訴訟は相当なリスクになります。

このような提訴のリスクを回避する(又は最小限に抑える)ことが、任天堂の特許の訂正から推測できます。

≪まとめ≫

ネット上では、コロプラが任天堂の特許5件を侵害しているということですので、任天堂の特許の経緯や訂正の内容から推測すると、特許3734820号がそのうちの1件という推理の信憑性も高そうです。

いずれにしろ、本件は今後のゲーム業界やIT業界に影響を与えかねないため、今後もウォッチしていきたいと思います。



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